協議会概要
会長ご挨拶
医療秘書の役割と未来:DX時代に必要な人間力と専門スキル
IT化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むなか、医療秘書の仕事が機械に取って代わられて、医療秘書の需要が減少することを懸念する声が聞かれます。しかしながらDX社会で、私は医療秘書の役割は多様化しながら発展すると考えます。なぜなら機械にできることは作業の効率化であって、医療人に欠くことのできない思いやりや共感の心に発する行為は人間のみが持ち得る特性であり、機械では代替えできないからです。
医療はより高度化、専門化するため、医師、看護師などは専門職としての業務に専念しなければなりません。従って患者・家族と専門職をつなぎ、多職種からなるチーム医療を患者中心に提供するコーディネーターの存在が必要になります。近年、医療秘書がこの役割を担い、医療秘書の職務の重要な部分となっています。
高齢化で疾病構造が変化するなか、国民の医療・介護ニーズは拡大傾向にあり、政府も医療・介護サービスの拡充を推進しています。またイノベーションで遺伝子治療や再生医療、遠隔治療などの新分野も拡大されています。まさに医療界は、多くのビジネス チャンスに恵まれており、産業界で数少ない可能性と発展性に満ちた領域です。医療秘書は、医師の負担軽減にとどまらず、すでに多様な臨床支援業務を創出し、医師の働き方改革や地域包括ケアでも大きな期待が寄せられています。また医療秘書はキャリアアップやワークアンドライフバランスを重視した働き方が可能な職種でもあります。このように医療秘書の職業展望は非常に明るいと断言できます。
これからはIT関連の教育が特に重要になります。私どもの協議会は医療秘書の専門性と質の向上を目的として、初代会長に故日野原重明先生を迎え、昭和63年1月に発足しました。以来、医療秘書技能検定試験、医事コンピュータ技能検定試験、電子カルテ実技検定試験などを行い医療秘書の技能向上に努めています。また平成12年6月には、日本医療秘書学会を設立し、学生や現役医療秘書の研究成果発表や意見交換、専門知識を深める有意義な機会となっています。加盟校では、医療専門知識、ITやコミュニケーションスキル、個人情報保護やセキュリティ対策など、これからの医療秘書に必須となる知識・技能を総合的に習得でき、実務体験の機会も多いことから、医療秘書としての実践力の基本を身につけることが可能です。
医療秘書の未来は明るく広い。是非あなたも医療秘書として活躍してみませんか?あなたの未来もきっと明るくなります。
歩み
本会は会員相互の連絡協調を図るとともに、医療秘書関連教育の充実と医療秘書の社会的地位の向上を図り、もって、医療秘書関連教育界並びに社会医療の発展に寄与することを目的とする。
- 昭和62年10月
- 医療秘書教育全国協議会設立発起人会開催
- 昭和63年1月
- 設立総会開催し、医療秘書教育全国協議会を発足
- 昭和63年1月
- 会長日野原重明氏(聖路加看護大学学長)就任
- 昭和63年12月
- 医療秘書技能検定3級開始
- 平成元年6月
- 医療秘書技能検定2級開始
- 平成4年6月
- 医療秘書技能検定1級開始
- 平成8年6月
- 医事コンピュータ技能検定3級開始
- 平成9年10月
- 設立10周年記念式典・祝賀会挙行
- 平成9年12月
- 医事コンピュータ技能検定2級開始
- 平成11年6月
- 医療秘書技能検定準1級開始
- 平成12年5月
- 理事長川口晃玉氏勇退にともない浮舟邦彦氏就任
- 平成12年12月
- 学校法人滋慶学園本部に事務局を移設
- 平成13年9月
- 「医療秘書教育全協誌」出版開始
- 平成13年11月
- 福祉事務管理技能検定3級開始
- 平成14年6月
- 医事コンピュータ技能検定準1級開始
- 平成14年11月
- 福祉事務管理技能検定2級開始
- 平成17年4月
- 当協議会に医療秘書教育学術研修委員会を設置
- 平成17年11月
- 当協議会日野原重明会長文化勲章を受勲
- 平成18年3月
- 個人情報保護法の基準に基づく認証を取得
- 平成20年2月
- 設立20周年記念式典・祝賀会挙行
- 平成20年12月
- 医師事務作業補助技能認定開始
- 平成21年7月
- 一般社団法人登記完了
- 平成22年4月
- 一般社団法人 医療秘書教育全国協議会と名義変更
- 平成22年6月
- 電子カルテ実技検定開始
- 平成29年7月
- 会長日野原重明氏ご逝去
- 平成30年5月
- 会長岩﨑榮氏就任
- 平成30年12月
- 設立30周年記念式典・祝賀会挙行
- 令和1年11月
- 福祉事務管理技能検定試験終了
- 令和3年5月
- 会長岩﨑榮氏勇退にともない佐藤秀次氏就任
役員
会 長 | 佐藤 秀次 | (医)札幌美しが丘脳神経外科病院 顧問
NPO法人 日本医師事務作業補助研究会 顧問 |
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相談役 | 川口 晃玉 | (学)川口学園 学園長 |
理事長 | 浮舟 邦彦 | (学)大阪滋慶学園 理事長 |
副理事長 | 橋本 勝信 | (学)大阪滋慶学園 常務理事 |
副理事長 | 川口 拓也 | (学)川口学園 理事長 |
理 事 | 野口 孝之 | (学)筑波研究学園 理事 |
理 事 | 萩原 知子 | (学)三幸学園 千葉医療秘書専門学校 学校長 |
理 事 | 橋本 正樹 | (学)川口学園 早稲田速記医療福祉専門学校 校長 |
理 事 | 早崎 祐治 | (学)三幸学園 理事 |
理 事 | 谷口 太 | (公財)唐澤記念会 大阪脳神経外科病院 専務理事・事務部長 |
理 事 | 橋本 敦 | 戸田中央メディカルケアグループ TMG本部 総局長室室長 兼 総務部次長 |
理 事 | 丹野 清美 | 国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 特任研究員 |
監 事 | 古島 暉大 | (学)滋慶学園 常務理事 |
監 事 | 川島 淳子 | (学)国際総合学園 新潟ビジネス専門学校 副校長 |
事務局長 | 石本 良之 | 医療秘書教育全国協議会 事務局長 |
医療秘書に思うこと
~一石三鳥のすばらしいお仕事~
生まれてから最期を迎えるまで医療や介護のお世話にならない人はいません。私自身が医療秘書のお仕事をやってきて良かったとつくづく思うことは、『一石三鳥のすばらしいお仕事』であるということです。一つ目は、診療報酬や介護報酬制度・各種保険制度の知識、医療や介護の臨床的知識が身につきます。二つ目は、他の医療機関や介護施設との連携などによる人との出会いが自分自身を成長させてくれます。そして三つ目は、何より患者さんや職場の皆さんにも喜ばれ、家族や親戚・お知り合いの方々へも病気のこと、治療費などお金に関すること、どこの医療機関や介護施設が適切かなど、いろいろな困りごとの相談に乗って手助けしてあげることができる公私共に役に立つお仕事だからです。
どこか具合の悪い患者さんは診療所や病院に行くのがとても不安です。そこで入口である受付と出口である会計の両方で必ず関わるのが私たち医療秘書です。笑顔でのあいさつや温かいお声かけが、どんなに患者さんの安心処となっていることでしょう。また、医事業務に始まり医師事務作業補助、病棟や薬局・リハビリなどのクラーク業務、診療情報管理業務のほか、病院内で資格がないとできない業務以外の大半を各部署で横断的にどんなことでもこなす『何でも屋』であります。今後AI(人工知能)やロボット技術の発展によって私たち医療秘書の業務のあり方も変わっていくことでしょうが、何に対しても常に好奇心をもって仕事に臨み、人にしかできないプロフェッショナルな医療秘書がどんどん活躍していってほしいものです。
医療秘書に期待する
~医療を支える医療秘書の役割~
医療秘書からどのような仕事を思い浮かべますか?受付や窓口で診察に来られた患者さんと対応して保険証を預かり診療費を計算・受領したり、カルテを整理する仕事が思い浮かぶでしょう。たしかに私が医療機関に就職した時は、医療秘書の仕事は診療録や各種伝票から診療費の計算等が主な業務でありました。しかし、平成12年診療報酬改定で「診療録管理体制加算」が新設されました。これは、医療事務に対する初めての診療報酬への評価でした。その後、平成20年診療報酬改定には、「医師事務作業補助体制加算」が評価され、医療機関にとって経済的側面からも医療秘書の重要性が大きく取り上げられ、チーム医療の一員として認識されるようなってきました。近年、医学や医療技術の進歩、保険医療制度の複雑化に伴う請求事務の煩雑化等により、医療事務の専門教育を受けた優秀な人材確保が医療機関にとって喫緊の課題となっております。 医療秘書の業務は、チーム医療の一員として参加することに留まらず、厚生労働省より公表されているDPCデータなどの内容分析や他医療機関とのベンチマークなど今後予想される保険医療制度の方向性を正確に見定めるなど、病院経営に参画する重要な業務も担っており、そういう一面からも医療秘書の重要性、必要性がますます認識されています。医療秘書者の養成は医療機関にとって即戦力者として期待しているところであります。
検定取得後の活躍の場
- 医療事務担当として‧‧‧
- 診療報酬請求事務は重要な業務です。
- 医療秘書として‧‧‧
- 忙しい医師や幹部、専⾨職を補佐し、書類作成‧整理、医療情報収集‧整理、上司のスケジュール管理、来客対応、電話応答などを⾏います。
- 病棟‧外来クラークとして‧‧‧
- ⼊院患者のカルテの整理、検体‧検査レポートやレントゲンフィルムの整理、ナースステーションでの伝票整理、電話応対など、病棟‧外来における幅広い業務を担当します。
- 診療情報管理担当者として‧‧‧
- 医師の診断結果や検査結果、治療⽅法、病状経過などが記載されている診療情報(診療録‧カルテ)を管理し、診療や研究に役⽴てます。
- 医師事務作業補助者として‧‧‧
- 病院勤務医の事務的負担を軽減するため、医師の指⽰の下に⾏う職種です。
- 医療界で幅広く活躍する
- 活躍する場所は、病院だけではありません。健康保険組合、製薬会社、医療機器メーカー、調剤薬局などにも、多くの職場で活躍できます。